上水道

開削区間の検討【工事場所①】

1.計画路線の概要

本設計対象道路は、環状1号線から南に入った閑静な住宅街である。住宅は比較的密集し ているが道路幅員は広く、交通量が少ないため生活環境は良好である。道路勾配は南に向 かって上り勾配で最大標高差は約27mあるが東西方向は平坦である。一部階段がある。

  • 「低区エリア」「高区エリア」が存在しており、エリアの境には締切り弁がある。したがっ て、エリア毎の2段階施工とするため、不断水取出しを2ヶ所とする。
  • 低区エリアの連絡工は、工事起点のφ300mm及び、ドレーン管φ100mm、集合住宅への 取出し管φ100mmの3ヶ所である。高区エリアの連絡工は、工事終点のφ200mm 及び、 中間取出し管φ150mm、東西方向の二道路へのφ75mmの4ヶ所が必要である。
  • 階段内の施工検討が必要である。
  • 埋設物の輻輳は低位であり、占用位置の検討は比較的容易である。

2.路線計画

占用位置の選定

新設配水管の占用位置の選定に当たっては、掘削幅に既設配水管や他企業埋設物が露出しないよう、さらに、施工時の交通への影響、住宅への影響、周辺環境への影響などを総合的に判断して決定する。

低区エリアの給水取出しは、道路片側に限定されるため、既設管と同様、住宅側を選定する。高区エリアは、道路幅員が6.0mと広く舗装復旧を半面に抑えるため、撤去管と同一占用側とし、離隔を30cm以上確保する。

各住宅への給水管があることから、新設管を布設して給水管の接続替えを行った後に既設 管の撤去を行う。そのため一時的に2 系列の配水管構成となる。一般的な横断図を載せる。

図 1 横断図

横断図(クリックで拡大表示)

不断水取出し位置の選定

不断水取出し位置の選定は、以下の条件をもとに最適な場所を決定した。

  • 施工手順を考慮し決定する。
  • 不断水取出し部に他企業埋設物がない位置とする。

下図の第1 案は低区エリア、第2 案は高区エリアをそれぞれ担当する。

図 2 不断水取出し位置図

不断水取出し位置図(クリックで拡大表示)

低区エリアにおいては第1 案以外に取り出し位置は無いのでここに決定する。高区エリア は当初第2 案を提案した。第2 案と第3 案の地盤高差は第2 案が約13.5m高い。施工後の洗 浄方法を考慮すると低い位置から高い位置へ行うほうが有利であるため、第3 案を最終的に 取出し位置とした。

連絡位置の決定

連絡位置の選定は、以下の条件をもとに既設配管図を確認し決定した。

  • 既に布設替えを行った区間を確認し、最適な位置
  • 他企業埋設物への影響のない位置
  • 現場条件から接続可能な位置
  • 道路条件(掘削禁止など)を満たす位置

施工手順の検討

本工事は、不断水施工により行う。また、給水管の切替え工事は、断水回数を極力減らし て住民の負担を軽くすることが大切である。そのため複数の段取り換えが必要となり、最も 効率の良い施工手順を提案することが重要である。

施工手順として、既存の給水管の切り替えを視野に入れ、新設管布設後に既設管の撤去を おこなう。

不断水取出し位置は、不断水取出し位置の選定において現況及び他企業埋設物を考 慮し最適な場所を決定した。 また、本設計の【工事場所①】には全7 箇所の連絡があるが、2 箇所の不断水取出しに対 して各3,4 箇所となっており、1回の断水で施工可能な連絡工事は3~4 箇所のため、特に問 題はない。

消火栓・仕切弁の設置

前章「施工手順の検討」により、消火栓及び仕切弁の設置場所が決定した。

消火栓の設置に当たっては、既設と同位置を基本とし、ポリピック洗浄に必要な場所へ追 加設置を行った。仕切弁の設置については、連絡部及び施工計画にもとづき必要な場所へ設 置を行った。

また、【工事場所①】においては、高区エリア・低区エリアの工区境があるため、境界に「消 火栓+弁+消火栓」の設置を行った。

3.施工検討

施工機種の選定

道路幅員を考慮し、施工機種の選定を行った。

  • 幅員 W≧4.0m → BH0.28m3 ・ 4tダンプ
  • 階段 W=4.0m → 人力 ・ 人肩運搬

道路幅員が広く、次ページに示すように施工時の片側交互通行が可能であるため、施工は 昼間施工とする。

4.一体化長さの検討

ライナを使用しないGX形直管の継手は、伸縮性、可とう性および離脱防止機構を有する 鎖構造管路用の伸縮耐震継手である。これらは、異形管前後に確保する一体化長さの範囲 外の主に直線部に使用する。

また、GX形異形管の挿し口に接合する直管の受口および一体化長さの範囲内にくる直管 受口には、必ずライナ-またはG-Link を使用して離脱防止継手にする必要がある。ライナ やG-link を使用したGX形直管の継手は伸縮性、可とう性をもたない離脱防止継手であ る。鎖構造管路では、水圧により不平均力で異形管部が移動することを防止するため、そ の前後の必要な範囲をこれらの離脱防止継手で一体化する。

必要な一体化長さが確保できない場合は、防護コンクリートにより保持させる。この一体 化長さの算定は、横浜市標準図及びダクタイル鋳鉄管協会の資料により検討を行った。 次ページに、一体化長の検討図を載せる。

図面

  • 平面図

    平面図に書き込む情報は下水道より多くなります。自然流下でないので占用位置はある程度融通が利きます。

  • 縦断図

    一定の土被りを設定しますが他の埋設物との交差に気を使います。

  • 管割図

    これがスイスイ描ければ一人前です。